「ビキニ事件の表と裏」
著者の大石又七さんは、当時第五福竜丸の冷凍士として乗船してビキニ環礁の水爆実験で被爆した。
ビキニ水爆実験、第五福竜丸について、私が知ってることは、学校の歴史の授業で学んだ程度のことだ。
しかもほんの10分もないくらい。
私がマーシャル諸島で協力隊として訪れる機会をもらわなければ、ビキニのことを知ろうなんて思わなかったかもしれない。
大石さんたちは、刻々と変化する時代の中、被爆者として歩んできた人生をしっかりとこの本の中から今の日本、世界へ訴えている。
自分の体の中で起こる、想像できないような変化を受け止め、これまで頑張ってこられたことに言葉もない。
けど、こんなことが起こったことを日本人は知っていたほうがいいように思う。
今、目の前にある「原子力発電所の問題」を考える背景として、大事なことだと思う。
アメリカの核物理学者で、原爆計画や国防省の要職を歴任し、ビキニでは2回の核実験科学陣を式した、あのラルフ・E・ラップも言っている。
「第五福竜丸事件が起きなかったら、世界の人々は何も知らずに『惰眠』をむさぼっていたに違いない」と。
この事件が、いかに重要な役割を果たしたか、警告を発して地球汚染を食い止めたか、ビキニ事件は決して忘れてはいけない事件なのだ。
俺たち被爆者は、その後一貫して核兵器廃絶を訴えて続けてきている。
だが、科学者や政治家、哲学者という人たちはこれをよしとしているのだろうか?
「ビキニ事件の表と裏」より
本の最後はこう締めくくられています。
今も同じ課題を日本や世界は抱えているように思う。